高齢者雇用への対応

高齢者雇用の現状

高齢者雇用安定法が2021年4月に施行されました。

65歳までの雇用確保義務に加えて70歳までの就業機会を確保することの努力義務となりました。

65歳までの雇用確保義務とは①定年制の廃止②定年を65歳以上への引上げ③65歳前の定年の場合は再雇用などの継続雇用制度を導入することとなります。

厚生労働省の令和3年度高年齢者雇用状況等報告書では上記の高齢者雇用確保措置を講じている企業の割合は99.7%とのことです。

その内訳を見ると、

①定年制を廃止した企業は4.0%、②定年の引上げは24.1%、③継続雇用制度の導入は71.9%となっています。

定年や継続雇用制度を変更する場合に考慮すべきこと

定年年齢・・・定年や継続雇用制度を何歳まで引き上げるのか。

どの様に引き上げるか・・・一度に引き上げるのか、段階的に引き上げるのか。

定年は一律か選択制か・・・一律同じ年齢で定年とするのか。定年を選択できるようにするのか。

対象者・・・全社員を対象とするのか。

仕事内容・・・高齢労働者にどの様な仕事を担当してもらうのか。

役割・・・高齢労働者にどの様な役割を期待するのか。

役職・・・役職はどうするのか。

労働時間・・・労働時間はいままで通りか、短縮するのか。

配置・異動・・・転勤の可否なども気を付けましょう。

評価・・・人事評価はどのようにするのか。

賃金・・・60歳以降の賃金はどうするのか。60歳以前の賃金も見直すのか。

退職金・・・いつ受け取れるようにするのか。いつまで積み立てか。

などです。

そのほか制度の運用時期も考慮する必要があります。制度を作ってすぐスタートだと周知されておらず混乱を招きます。

定年引上げ、再雇用制度のメリットデメリット

メリットはまず労働力の確保があげられます。人手不足の現在の日本では新たに雇うより既存の労働力を逃がさないことが重要です。

次に技術の継承時間の確保です。長年働いた技術を若手に継承するためによい機会となります。

企業によっては60歳以上の業績評価基準に後進の育成や技術継承の評価が加えられているところもあります。

他には企業イメージの向上です。長く働ける会社は他企業だけでなく求職者にも良い印象を与えます。

デメリットとしては人件費の増加です。高年齢者だからと言って安易に給料を下げることはモチベーション低下や退職を招くためおすすめしません。

しかし、高齢になっても賃金が高止まりすることで企業の人件費を圧迫します。賃金制度の見直し、定年引上げではなく有期雇用労働者として1から再雇用するなどの対策が必要となります。

他には役職が詰まってしまうことですね。役職定年を設けるなどをして次世代育成にも配慮しましょう。

 

2022年5月の65歳以上高齢者人口は3624万人となり全人口の28%となっています。

若い労働者がどんどん減少しているなかで労働力確保のために高年齢者を雇用することは避けては通れない道となるでしょう。

早いうちから高年齢者を雇用できる制度を整え、人手不足を解消し、企業を守りましょう。

2022年11月10日