コラム一覧

業務委託契約とその有効性

業務委託契約とは

業務委託契約とはいわゆる外注のことです。

法律的には委任契約や請負契約が当てはまります。

一般的には完成した商品を納めることを目的とした請負契約を指すことが多いです。

通常、商品の作り方や作る時間、作る場所までは注文を付けられません。

完成した商品を納めたこともって報酬が支払われます。

これが作り方や時間の指定などの命令があると「使用従属関係」が認められ、労働者となります。

その場合は社会保険の加入や残業代を含めた賃金の支払いなどの必要が出てきます。

 

業務委託契約の有効性

業務委託契約として契約すれば業務委託契約が認められるわけではありません。

場合によっては労働者として認定され、未払い賃金の支払いや当該労働者を強制的に雇用をしなければならなくなります。

では、どのような場合に業務委託契約が認められるのでしょうか。

雇用契約と業務委託契約は一言でいえば使用従属性の有無です。

明確に分かれているわけではないものの、裁判で一応の方向は示されています。

業務委託契約の判断基準となる要件を列挙します。

・指揮命令権がない

業務委託契約は仕事の完成に対して報酬が支払われます。仕事の遂行方法を命令する場合は雇用契約とみなされる可能性があります。

・報酬の支払い基準が仕事の完成(遂行)に対してである

基準が時間に対してである場合は労働者とみなされる可能性があります。

・労働時間の自由がある

労働時間を管理する場合は労働者性を有しているとみなされる可能性があります。ただし、仕事の納期を決めることはかまいません。

・労働場所の自由がある

仕事の場所を特定する場合は労働者とみなされる可能性があります。

・仕事内容の諾否が自由である

仕事内容に応じて受諾する自由がない場合は労働者とみなされる可能性があります。

・社内の就業規則や服務規律に拘束されない

自社の労働者でないので就業規則などに拘束されません。

・仕事で必要となる物品が会社負担でない

自社で仕事に必要な材料や道具を負担している場合、労働者とみなされる可能性があります。

上記の事柄を総合的に判断します。

1つでも、もしくはすべてが当てはまった場合のみ該当するものではありません。

 

業務委託契約の裁判例

ここで(エアースタジオ事件 東京高裁令2.9.3判決)を紹介します。

この事案はいわゆる下積みだった元劇団員が劇団の裏方業務や講演への出演(そのための稽古も含む)について労働者であることを前提に賃金の支払いを請求したものです。1審は裏方業務のみ労働者性を認めましたが、2審はこれに加えて公演への出演についても労働者性を認めました。

・判断の基準

業務の諾否の自由の有無、時間的・場所的な拘束の有無、労務提供の対価が支払われていたかどうかなどを総合的に判断するとしています。

・公演の出演

1審と2審で判断が分かれた公演の出演の労働者性ですが、1審では公演の出演を拒むことができた(諾否の自由があった)としたため労働者性を否決しましたが、2審では劇団に所属しながら公演を拒否することは下積みであった元劇団員には考えられないとして労働者性を認めました。

 

やはり業務委託契約の内容と実際の働き方を総合的に判断して判決が出されます。

自社と労働者、委託業務者との契約内容をしっかり確認して必要であれば契約を変更し、会社を守りましょう。

 

2024年04月24日

従業員の定着のためには?

従業員を雇ってもすぐに退職してしまう、そんな企業の悩みが最近よく耳に入ります。

なぜすぐに退職してしまうのか、また、企業に定着を図るためになにをするべきかをみていきましょう。

 

企業を取り巻く労働者の現状

出典:東京商工会議所「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」

この表は中小企業に人手不足の状況を聞き取りをした回答です。

人手不足と回答した企業は65%にも及んでおり、実に3社に2社は労働者不足といった状況です。

特に建設業(78.9%)、運輸業(77。3%)、介護・看護業(76.9%)などは80%に迫る深刻な人手不足です。です。

しかも、この数字は昨年度より増加しており、日本の少子化の現状を鑑みると下がる見込みはありません。

企業は採用に関して戦略的な対応をする必要があるということです。

つまり、採用の見込みが少ない現状として、現在の労働力を逃がさず定着させなくてはならないのです。

 

労働者の転職の現状

出典:リクルート「2023年1ー3月期 転職時の賃金変動」

この表は前職と比べて1割以上賃金が上昇した転職者の割合を表したグラフです。

実に35%もの転職者が前職より1割以上も賃金が上昇しているということです。

グラフの折れ線はリーマンショックやコロナ禍の時期は少なくなっていますが、おおむね右肩上がりです。

若い転職者に限って言えばもっと多くの割合で賃金が上昇しているでしょう。

これを見てわかる通り、転職を積極的に行う方が労働者のメリットとなっています。

実際、若者の中では転職にマイナスイメージがなく、現状に満足していなければすぐに転職活動を行う動きがあります。

一昔前のように「1つの企業で最低3年は在籍する」という考え方はなくなっているのです。

 

企業に定着を図るため企業がすべきこと

企業が労働者の定着のためにすべきことはまず、多様な働き方を推進することです。

テレワークを導入することやフレックスタイム制の導入、選択的週休3日制を推進することで労働者の仕事と家庭の両立に対応できます。

子育てが、介護がと家庭の事情でしかたなく退職する労働者を手放すのはもったいないので、そういう労働者のニーズを拾えるような企業の制度充実を図りましょう。

次に賃上げです。

東証プライム企業では、2023年新卒入社の大卒初任給は225,686円でした。

当然その上の年代も給料を調整するので、賃金上昇させることも退職させないために必要な手段だといえます。

最後に労働者が成長を実感できる職場づくりです。

仕事が退屈、自信の成長が実感できない職場ですと労働者は転職を視野に入れます。

各労働者に目標を設け、成長を実感させ、上司が評価する制度がある企業は労働者が働き甲斐を感じ定着しています。

企業に余力があるうちに、少しずつでも労働者定着のための方策を実施し、労働力不足に備えましょう。

2024年03月01日

社会保険料の間違い~年金事務所の調査で指摘されないために~

社会保険料の対象となる報酬

社会保険料に算定する報酬(給与)は健康保険法3条5項には

「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。

とあります。

法律ではすべてのものが該当しそうですが、実際には算定対象でないものもあります。

厚生労働省では下記の表にして明示しています。

出典:算定基礎届の記入・提出ガイドブック

 

現物支給の多い会社は注意が必要です。

給料明細や賃金台帳に乗ってこない報酬も社会保険料の算定には算入する必要があります。

 

社会保険料の算定のタイミング

社会保険料の算定する必要があるのは以下のタイミングです。

・採用したとき(資格取得時決定)

これから支払うであろう報酬を元に届出をします。

・7月(定時決定)

7月1日現在に在籍しているすべての被保険者の4月~6月の報酬をもとに算定します。

・給料が変動したとき(随時改訂)

昇給などで給料が変動したとき変動した月から3か月分の報酬を元に4か月目に行います。

 

年金事務所の調査で良く見つかるミス

調査で良く見つかるミスを例示します。

 

・入社時に支払っていなかった手当を算入していない

4月入社の社員に住宅手当を支払い忘れ、5月に清算した場合などです。

この場合、社会保険料の計算に入れる必要のある給料となります。

もし資格取得時決定に算入していなかった場合は資格取得届の訂正の届出が必要となります。

 

・非固定的賃金が新設・廃止された場合

毎月変動する手当が新設・廃止された場合です。

成績によって額がかわるので月額変更の契機にはならないと思われがちですが、新設・廃止の場合は固定的賃金の変動に該当し、月額変更の必要がある場合があります。

 

・非固定賃金の単価が変動したとき

ガソリン単価が1キロ10円から20円になった場合などです。

支払われる根拠となる単価が変動した場合は固定的賃金の変動に該当し、月額変更の必要がある場合があります。

2024年02月19日

35歳に関すること

私本日、誕生日です。

35歳になりました。

そんなわけで今回は35歳に関する労働関係の法律を確認したいと思います。

安全衛生法の35歳

安全衛生法の35歳といえば、定期健康診断の腹囲測定を省略できない年齢です。

通常40歳未満の者は省略できますが、35歳は強制となっています。

また、胸部エックス線検査も省略できません。

こちらは20歳、25歳、30歳、35歳の5の倍数の年齢は省略できないことになっています。

他にも血液検査が強制となっています。

35歳の健康診断は強制の項目が多いです。

 

雇用保険法の35歳

雇用保険法の35歳は基本手当の所定給付日数の区分が変わります。

会社の倒産や解雇など、失業を余儀なくされた者(特定受給資格者)の基本手当(失業手当)が34歳までより多くなります。

2024年02月08日

仕事と家庭の両立

仕事と家庭の両立について会社がやるべきことと守るべき法律について、以下のようにまとめてみました。

まず、会社がやるべきこととしては、育児や介護を抱える社員に対して、柔軟な勤務形態や休業制度を提供することです。

具体的には、以下のような制度を導入・運用することが求められます。

育児休業制度:子どもが1歳になるまでの期間に認められる休業制度

子の看護休暇:小学校就学前の子どもがいれば、1人につき年5日まで看護休暇を取得できる制度

育児短時間勤務制度:3歳未満の子どもを持つ場合に、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮できる制度

介護休暇:要介護状態にある家族を介護するために1人につき年5日まで休暇を取得できる制度

介護休業制度:要介護状態にある家族を介護するために1人につき3回まで、通算93日まで休業できる制度

介護短時間勤務制度:要介護状態にある家族を介護するために勤務時間を短縮できる制度

フレックスタイム制度:所定の総労働時間内で勤務する時間帯を自由に決められる制度

次に、会社が守るべき法律としては、育児・介護休業法と次世代育成支援対策推進法があります。

これらの法律では、事業主に対して、上記の制度の導入・運用や、社員の両立支援に関する情報の周知・教育、社内の両立支援の環境整備などを義務づけています。

また、両立支援に積極的に取り組む事業主に対しては、助成金や表彰などの支援も行われています。

仕事と家庭の両立支援は、社員の働きやすさや定着率を高めるだけでなく、企業の人材確保やイメージ向上にも貢献する重要な取り組みです。

人事担当者は、制度の内容や改正を把握し、社員のニーズに応えることができるように努める必要があります。

2024年02月05日

定額減税と給与計算

定額減税の対象者

定額減税とは、令和6年分の所得税と住民税について、所得の額にかかわらず一律に税額を減らす制度です。

政府は、新型コロナウイルスの影響で経済が打撃を受けた中、国民の所得を確保し、消費を喚起するためにこの制度を導入しました。

定額減税の対象となるのは、令和6年分の所得税の納税者である居住者で、合計所得金額が1,805万円以下である方です。

給与収入のみの方の場合は、給与収入が2,000万円以下である方が対象となります。

定額減税の額は、本人に30,000円、同一生計配偶者または扶養親族につき30,000円が所得税額から控除されます。

ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、その所得税額が限度となります。

住民税についても同様の控除が適用されます。

定額減税の実施方法は、所得の種類によって異なります。

給与所得者や公的年金受給者の場合は、令和6年6月から源泉徴収されるべき所得税等の額から特別控除の額が控除されます。

事業所得者や不動産所得者の場合は、原則として令和7年1月以降の確定申告の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。

定額減税に関する詳細な情報は、国税庁のホームページやパンフレットをご覧ください。

定額減税の制度の趣旨や内容について、丁寧な周知広報を行っています。

給与計算における注意事項

給与計算においては、定額減税の影響を受ける点がいくつかあります。

まず、扶養控除等申告書の提出が必須となります。

扶養控除等申告書を提出していない会社では定額減税が実施されませんのでご注意ください。

また、合計所得金額が900万円超の人や15歳以下の扶養親族がいる人は、特別な申告書を提出する必要があります。

次に、給与明細や源泉徴収票には、定額減税の控除額や控除外額などの記載が必要となります。

給与明細には「定額減税額(所得税)」や「定額減税」などの表示がされる予定です。

源泉徴収票には「源泉徴収時所得税減税控除済額」や「非控除対象配偶者減税有」などの記載がされる予定です。

最後に、年末調整や確定申告においても、定額減税の控除額の確定や調整が必要となります。

年末調整では、本人の合計所得金額や配偶者・扶養親族の合計所得金額により、定額減税の控除額が決まります。

確定申告では、令和6年分で控除しきれなかった場合や、予定納税の対象となる方について、定額減税の控除額の調整が必要となります。

2024年02月02日

労働条件通知について2024年4月からの変更点

今回は、2024年4月から施行される労働条件明示のルール変更についてお伝えします。

労働条件明示とは、労働契約の締結時に、労働者に対して労働条件を書面で通知することをいいます。労働基準法では、労働条件明示が義務付けられており、違反すると罰則があります。

具体的には、以下のような変更があります。

明示すべき労働条件の項目が追加されます。従来は、賃金、就業時間、休日、退職に関する事項など、14項目でしたが、2024年4月からは、以下の3項目が追加されます。

 ➀従事すべき業務の変更の範囲

 ➁就業場所の変更の範囲

 ③有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)

厚生労働省のHPで改正された労働条件通知書が取得できます。

これらの変更は、労働契約の内容や変更の範囲を明確にすることで、労働者の権利を保護し、労使間のトラブルを防止することを目的としています。しかし、一方で、企業にとっては、労働条件の管理や通知の負担が増えることになります。

そこで、労働条件通知書の様式を新しいものに変更し、必要な項目を追加するとともに、就業規則も見直し、従事すべき業務の変更の範囲や就業場所の変更の範囲を具体的に定めることをおすすめします。

今のうちから社内の労働条件通知書を新しいものに変更し、2024年4月からの労働条件明示の変更に対応しましょう。

2024年01月22日

能登半島地震に伴う雇用調整助成金の特例

令和6年1月1日に発生した能登半島地震で被害にあわれた方々に哀悼の意を表明します。

この地震では多くの企業にとって大きな打撃となりました。

地震の影響で事業活動が縮小される中、従業員の雇用を維持することが困難な状況です。雇用調整助成金の特例措置が実施されました。

雇用調整助成金とは、事業主が休業や出向などの雇用調整を行う場合に、休業手当や出向手当の一部を助成する制度です。

通常は、生産指標の確認期間が3か月で、対前年比で減少していることが必要です。また、事業所設置後1年以上経過していることや、計画届の事前提出が必要です。

しかし、能登半島地震の特例では、以下の点が緩和されます。

➀生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮されます。

➁直近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象となります。

③地震発生時に事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象となります。

➃計画届の事後提出を可能とします。

これらの特例措置は、令和6年1月1日から令和6年6月30日の間に開始した休業や出向などに適用されます。

能登周辺地域の企業のみならず、取引のある企業も含まれます。

能登の企業から仕入れがストップして仕事がないなども有効ですのでお困りの企業は雇用調整助成金を検討してください。

能登半島地震の特例の雇用調整助成金は、地震による事業の苦境にある事業主にとって、雇用の安定と再建の支援となるはずです。

みんなでこの危機を乗り越え、また再建しましょう!

詳しくは、厚生労働省のホームページをご覧ください。

【令和6年能登半島地震に伴う雇用調整助成金の特例を実施します】

2024年01月18日

キャリアアップ助成金が拡充されました

11月29日からのキャリアアップ助成金の変更点

11月29日からのキャリアアップ助成金の正社員化コースの変更点について説明します。

11月29日以降の正社員化についての変更点ですので、すでに正社員化している場合には当てはまりません。

①助成金額の増加

正社員転換後6か月後に1回申請して助成金額57万円(中小企業以外は42.75万円)であったものから正社員転換後6か月ごとに1回0万円(同30万円)計2回80万円(同60万円の支給となりました。

無期雇用から正社員への転換は上記の半額です。

2回申請ということで手間が増えてしまいますが金額の増額は魅力的です。

 

②有期雇用労働者の要件緩和

対象となる有期雇用労働者の雇用期間が6か月~3年以内であったものが雇用期間6か月以上に変更されました。

長年有期雇用を更新していた労働者は対象とならなかったのですが、この改正で対象となります。

しかし、無期転換ルールのため、5年を超えた雇用期間の対象者は無期雇用とみなすため無期雇用から正社員への転換とみなします。

 

③正社員規定の加算措置

新たに正社員転換の規定を整備し、対象者を正社員化した場合に20万円(中小企業以外は15万円)の加算となります。

1事業所あたり1回のみです。

これで初めてキャリアアップ助成金を導入する中小企業が1人正社員化すると合計100万となります。

 

➃多様な正社員制度を導入する場合の加算

多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)制度規定に関する加算額を増額します。

現行9.5万円(中小企業以外は7.125万円)から40万円(同30万円)に増額となりました。

初めて多様な正社員制度を導入し、対象者を多様な正社員として転換した場合は①と合わせて120万円となります。

 

 

2023年12月05日

求人票の書き方

ハローワークの求人票を記入するときに必要なことを紹介します。

 

求職者をイメージする

まだ見ぬ求職者をイメージするのは難しいですが、具体的な人物像をイメージすることでその後の求人票の文章も変わってきます。

具体的な人物像とは、年齢や家族構成、前職の退職理由などです。

現状に合わない、自信が満足していないなどの不満を上手に解消してあげられれば大企業にも負けない人材採用が可能になります。

考えるイメージは

・年齢

・家族構成

・前職を退職した理由

・学歴や職歴

・趣味、嗜好

などです。

この時、ミスマッチを減らすために自社が欲しい人材に合わせて考えてください。

 

アピールポイントを考える

上記の求職者にアピールする文章を記載しましょう。

例えば子どもが生まれたために前職を退職した、と仮定した場合は求職者としては子どもが体調不良の時などは仕事を柔軟に休める、遅刻早退に対応できるか、などを重視するはずだ、とアタリをつけます。

その場合の求人内容は「急な欠勤や遅刻早退にも対応できること」「時間単位での有給の取得が可能なこと」などをアピールします。

同様に、イメージした求職者の課題に合わせて自社のアピールをします。

決して聞くことのできない求職者の要望を汲み取ることができれば求人募集が成功するでしょう。

 

嘘は絶対に書かない

求人票に記載する際に嘘は絶対に記入してはいけません。

たとえ、自社をよく見せるためでもです。

ミスマッチを起こして早期の退職招いたり、ネットでの情報拡散などのリスクが多くなります。

労働者は入社よりも退職の方が問題となるリスクは多いのです。

 

2023年11月28日

ハローワーク使い倒し!人材募集の方法

ハローワークといえば公的な無料の職業紹介所だということはよくご存じかと思います。

しかし、きちんと使いこなせているでしょうか。

今日はそんなハローワークでの求人を成功させる方法を紹介したいと思います。

 

無料!まずは求人を出す

なんといってもまずは求人を出してみることです。

現在は事務所で求人資料を作成し、掲載依頼を提出する企業も多いでしょうが、たまにはハローワークに足を運んでみてください。

求職者の気を引く文章の書き方までは教えてくれないでしょうが、最近のトレンドや近隣企業の給与などの動向などはハローワークの資料としてもっているのでアドバイスをくれるはずです。

特に給料、年間休日、残業時間などは求職者が求人検索をするときに重要視するのでこのあたりの情報で他社に見劣りしないようにアドバイスをもらってください。

 

マークや認証を取得する

これは「くるみんマーク」や「えるぼし」などです。

認定は労働局の各部門が行っており、取得は無料です。

ほかにもありますが、これらを取得すると従業員を大切にしていると求職者にアピールできます。

求人票にマークが掲載されるのはもちろん、あるハローワークではマーク認定企業の求人として入口付近に張り出されるなど求人を後押ししてくれる活動もしていました。

「くるみんマーク」を取得し子育て応援企業として子育て中の求職者を囲い込むことに成功した会社もあります。

 

企業説明会に参加する

ハローワークが定期的に行っている無料の企業説明会を開催しましょう。

開催しているかは所轄のハローワークに確認してください。

開催に際してはハローワークが告知をしてくれます。

求職者に参加を促してくれたりします。

大半は冷やかしですが、毎度1、2人は熱心に聞き入り、説明会終了後も企業に質問する求職者もいます。

 

 

いかがでしたか。

人材難の現在、いい求職者は早い者勝ちです。

無料でできる対策がこれだけあるので人材不足の解消の一助としてください。

2023年11月22日

リスキリングの助成金?人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に対して新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。

要件としては

・OFF-JT(仕事とは切り離して行われる訓練)であること

・実訓練時間数が10時間以上であること

・下記①か②のどちらかに当てはまる訓練であること

①事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練

②事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合にこれに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練

助成金の受給金額

助成金は企業規模や訓練時間に応じて変動します。

・助成率

訓練経費の75%(中小企業以外は60%)

・賃金助成

1人につき1時間あたり960円(中小企業以外は480円)

・経費助成限度額

1人につき1度の訓練でかかる経費に対する助成金額に限度があります。

訓練時間と企業規模に応じて異なります。

  10時間以上100時間未満 100時間以上200時間未満 200時間以上
中小企業主 30万円 40万円 50万円
中小企業主以外 20万円 25万円 30万円

・賃金助成限度額

1人につき1度の訓練で1200時間までとなっています。

ただし、専門実践教育訓練については1600時間までです。

・訓練受講回数の上限

1人の労働者が1年度(4月1日~3月31日)に助成金対象として受講できる回数は3回までです。

・1事業所の制限

1事業所が1年度に受給できる金額は1億円です。

助成金申請の流れ

①能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定

②労働局に職業能力訓練計画届の提出(訓練開始1か月前までに)

③計画書の通りに訓練を実施

➃助成金申請書の提出(訓練終了日の翌日から2か月以内)

➄助成金の受給

となります。

 

③の訓練が②の計画書通りでないとその分は助成金として受給できなかったりします。

訓練日の変更などが生じたら事前に労働局に連絡し、指示を仰いでください。

余裕があれば事前の変更届の提出、急病などで当日訓練が中止などの場合は後日の資料提出などを指示してくれるはずです。

連絡なく変更し、助成金申請書を提出した場合、助成金不支給となることもありますのでご注意ください。

2023年11月09日

企業主導型保育の監査

顧問先で受けた企業主導型保育園の労務監査について立ち合いをしたのでその時あった質問と対応、また感想について記載します。

基本的にはチェックリストの通り

私は今まで2つの県で2つの保育園についての監査に立ち会いました。

協会がアデコに委託し、それを社会保険労務士会に再委託して、実際の労務監査は社会保険労務士が保育園に来園し監査をします。

どちらも2人の社労士が監査に来ました。

流れは

事前に就業規則や出勤簿などの資料を提出

提出された資料を事前に監査する人が精査

監査人が保育園に来園

実際の保育園の状況を見ながらチェックリストに沿って事業主に聞き取り

数人の労働者に聞き取り(正社員、パート、育休取得者)

講評となります。

時間は3~4時間ほどです。

チェックリストは公表されていて、チェックされる側も確認することができます。

この監査に結果によって助成金の支給の可否が決まるので非常に大事な監査です。

疑義がある場合は都度質問がある

労務監査について事前に提出した資料に疑義がある場合はその都度質問があります。

例えば、出勤簿では始業時間がすべて8:00ちょうどとなっているが1分のズレもないのかといったことです。

聞かれたことにどの様な労務管理をしているかを正直に話し、監査人が納得するまで説明します。

監査担当の社労士

監査担当の社労士は正直質のいい社労士ばかりとは限りません。

監査に直接関係のないことまで口をはさむ者までいます。

労働関係法をきちんと理解しないまま指導をされることもありました。

その場合は越権行為であることを指摘したり指導の根拠となる法律条文の提示を求めるなどの対応も必要です。

監査人は知識が完璧でもなく偉いわけでもないのです。

法律に則っていない指導をされて、その指導間違ってますよね?労働基準法のどこに乗ってますか?と聞くと口ごもっていました。

おかしいと感じたら指摘、質問をして疑問点を解消しましょう。

2023年11月06日

有給休暇の考え方とシフト制の対応

年次有給休暇の基本的な考え方

年次有給休暇は労働する義務を免除することにあります。

この日は働く日(または時間)と決まっていた者に対して有給休暇の権利の行使によって労働しなくてよくなることです。

ですので、休日や育児休業中などのはじめから労働の義務がない日については有給休暇は使用できません。

有給休暇時の給料の考え方

有給休暇中の給料の決め方については3種類あります。

①平均賃金

②所定労働時間労働した場合における通常の賃金

③健康保険法の標準報酬月額の30分の1

となっています。

①は前3か月に支払った賃金÷その期間の総日数です。

②は月給の場合は他に欠勤などの無い場合は通常の月給を支払うことになります。

③については労使協定が必要です。

いずれにしても就業規則でどの支払い方をするのか決めておく必要があります。

シフト制で時給の場合

シフト制など、労働時間があらかじめ決まっていない場合、まずシフトを確定した後に有給休暇を行使することが望ましいでしょう。

そうすることで労働者の有給休暇中の労働時間が確定します。

上記②の所定労働時間労働した場合における通常の賃金を支払う場合はこれを確定していないといくら払えばいいのかがわかりません。

①、③の場合でも時間単位の年次有給休暇を使用した場合には労働時間を確定していないといけません。

実務上は先にこの日有給休暇と伝えた後でのシフトを組む作業になる場合が多いと思いますが、労働時間を確定していないと思わぬ賃金未払いとなりかねません。

2023年11月02日

昼休み中の電話番は違法?

昼休み中の急な来客や電話に対応するために従業員の1人を留守番として残しています。

実際の来客や電話は年に数回しかないため、対応できるようにしていれば事務所内で自由にしていていいという現状です。

これでも労働時間になりますか、という相談を受けました。

労働時間の考え方

労働時間とは労働者が使用者(会社)に労務を提供し、指揮命令に従っている時間を指します。

基本的には、会社にいるときは積極的に自由行動をしている場合以外労働時間と考えていいでしょう。

そして労働基準法第32条ではこの労働時間が1日について8時間、1週間について40時間を超えることができないとされています。

休憩時間の考え方

単に作業に従事しない手待ち時間を含まず、労働者が権利として労働から離れることが保障されている時間をいいます。

手待ち時間とは、仕事がないために自分の作業をしていない時間です。

例えば、前の仕事が完成していないために自分の仕事にとりかかれないために待っている時間です。

この時間は休憩時間ではなく、仕事が発生した場合直ちにとりかかるよう待機しているだけですので労働時間とみなされます。

労働から離れて自由が保障されている時間とはなりません。

留守番は労働時間とみなされる

以上のことから、昼休みの電話番は労働時間とみなされます。

電話番をしている時間も労働時間ですので、給料を支払わなければなりません。

また労働時間が6時間を超える場合は労働時間の途中に休憩を付与しなければなりません。

電話番は数人の輪番制とし、昼休みを繰り下げられるようにするのが良いでしょう。

2023年10月30日

「年収の壁」の助成金

「年収の壁」とは

年収の壁と言われているものは多くあります。

一定以上の収入を得ること社会保険料や税金の支払いが発生するため、その支払い義務発生前に労働時間を減らし、収入を調整するなどして実質的な壁となるため年収の壁と言われています。

主な「壁」

100万円前後・・・パート代に住民税が課税され始める。地域によって課税の年収額は異なるが、およそ100万円前後を超えると年間数千円程度の課税(均等割り)と、課税対象額を超えた分の10%(所得割)とが課税される(他、調整控除額あり)

103万円の壁・・・パート代に所得税が課税され始める。年収103万円を超えた金額に所得税がかかる。課税所得が195万円以下なら税率が5%となり、1万円あたりの税額は500円程度

106万円の壁・・・被扶養者が社会保険に加入することになる。勤務先の人数が101人以上(2024年10月からは51人以上)で勤務時間や収入に応じた加入条件があるので該当すると加入義務がある。被保険者の社会保険の扶養を外れ、厚生年金と健康保険の保険料は自己負担に。負担額の目安は年間約15万円~(106万円の壁の対象になると、次の130万の壁は関係なくなる)

130万円の壁・・・被保険者の社会保険の扶養を外れ、自身で国民健康保険・国民年金に加入することになる。国民年金の負担額の目安は年間20万円程度。国民健康保険・国民年金は合わせて30万円前後~

150万円の壁・・・被扶養者のパート年収が150万を超えると被保険者の配偶者特別控除の控除額が減り始め、201.6万円まで段階的に減る

201万円の壁・・・被保険者の配偶者特別控除が受けられなくなる。被保険者の年収が500万円の場合、満額控除を受けられるのに比べて年間およそ7万円以上(概算値)の負担増になる。

キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

「年収の壁」に対応する助成金として2023年10月に新設されたものです。

概要は新たに社会保険の被保険者要件を満たしたことをもって社会保険の被保険者となった際に、いわゆる年収の壁を意識せず働くことのできるよう賃金総額を増加させる措置(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を講じること、又は週所定労働時間を4時間以上延長する等の措置を講じ、これによって新たに社会保険の被保険者要件を満たし、社会保険に適用させることをする事業主に助成金を支給するというものです。

 

①手当等支給メニュー

労働者に社会保険を適用する際に「社会保険適用促進手当」の支給により労働者の収入を増加させる場合に支給されます。

受給額:1人あたり最大50万円

 

②労働時間延長メニュー

労働時間の延長により社会保険を適用させる場合で賃金を増額した場合に支給されます。

受給額:1人あたり最大30万円

 

③併用メニュー

上記①②を併用して取組んだ場合に支給されます。

受給額:1人あたり最大50万円

2023年10月27日

介護で退職しないで!介護に活用できる制度

介護が理由での退職

長期にわたる介護を理由に退職する労働者が増えています。

令和4年度就業構造基本調査では、2022年の介護・看護により過去1年間に離職した者は10万人を超えるという結果が出ています。

人材不足の企業にとって、労働者の退職は大きな損失です。

特に、企業への不満ではなく、家庭の事情で退職する労働者は何とかつなぎとめたい存在でしょう。

そこで今回は、介護が理由で離職する労働者が活用できる介護保険制度と会社が取るべき両立支援制度を紹介します。

介護保険制度

介護保険制度は国の制度で、介護が必要な中高齢者は介護、支援のサービスを受けることができます

利用者の所得に応じて一部(1~3割)利用者の負担があります。

介護保険サービスは、65歳以上の者は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、40~64歳の者は末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に、受けることができます。

サービスを受けるためには市町村による要介護認定が必要となります。

流れとしてまず、市町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定を行います。(一次判定)

次に保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、一次判定結果、主治医意見書等に基づき審査判定を行います。(二次判定)

最後にこの結果に基づき、市町村が申請者についての要介護認定を行います。

これにより要介護のランクが決定され、介護の必要度合に応じたサービスを受けることができるようになります。

サービスには多くの種類があるが、

・訪問介護や訪問入浴介護などの訪問サービス

・デイサービスなどの通所サービス

・ショートステイなどの短期入所サービス

などがあります。

夜間対応型サービスや認知症対応型サービスなどもあるのでご検討ください。

 

介護休業給付

雇用保険の制度の1つで、介護を理由に休業する労働者の所得補償となる制度です。

雇用保険の被保険者が

・対象家族(配偶者、父母、子、祖父母、兄弟、孫)を介護するために休業すること

・2年間に12か月以上雇用保険の被保険者であること

などの要件を満たした場合、最高93日分について給料の67%の給付が受けられます。

2023年10月25日

時間外労働と割増賃金

残業の割増率

残業をさせた場合、割増賃金が必要になります。

月給だからといっても余分に仕事をさせた分は余分に給料を支払う必要があります。

しかしどのようなときにいくら支払えばいいでしょうか。

割増賃金と割増率の確認をしましょう。

以下の場合には通常の賃金に割増率を掛けて給料を払います。

・法定内残業

1日8時間、週40時間以内の就業時間で、その時間内の残業をさせた場合・・・時給相当額の100%

例:1日3時間の労働時間で時給1000円の場合に1時間残業をさせたら労働時間4時間で合計4000円の給料を支払う。

・法定外残業

1日8時間、週40時間を超えて労働させた場合・・・時給相当額の125%

例1日8時間の労働時間で時給1000円の場合に1時間残業をさせたら労働時間9時間で合計9250円の給料を支払う。

所定の労働時間8時間分の8000円+法定外労働時間分の1時間の1250円を合計します。

・深夜業

残業とは毛並みが違いますが、22:00~5:00までの労働には時給相当額の25%の深夜割増がつきます。

深夜の時間帯に労働すること自体が体に負担があるという理由から残業でなくとも割増となります。

深夜業のある仕事で月給の場合は基本給に含まれている可能性もありますので注意してください。

・法定休日

毎週1日、あるいは4週4日以上の休日が必要ですが、この日を労働させた場合に必要な割増賃金です。

時給相当額の135%です。

割増賃金が重複したときは

時間外労働が深夜に及んだ時などはどうなるでしょうか。

・法定外残業+深夜業

残業が深夜の時間帯まで及んだ場合です。

25%+25%で時給相当額の150%となります。

・法定休日+深夜業

35%+25%で時給相当額の160%となります。

・時間外労働+法定休日

法定休日中の労働に時間外の労働の概念はないため、法定休日分の割増賃金のみの135%となります。

月の残業時間が60時間を超えた場合

月の残業時間が60時間を超えた場合、125%ではなく、150%となります。

超えた分から150%となりますので月の途中で単価が変わります。

この残業が深夜時間帯に及んだ場合は当然50%+25%で175%分となります。

 

上記の割増賃金率はあくまで法律上の最低基準です。

企業によってはこの法律を超える規則を定めているところもあります。

2023年10月23日

過労死ラインは?目安の残業時間とその他の認定要因

長時間労働が違法な理由

労働者を労働させるとき、労働時間を法定時間以内で労働させていますか?

労働基準法では、原則1日8時間以内、週40時間以内と定められています。

これ以上の労働は違法であり、時間外労働に関する36協定を届出していない企業は罰則の対象です。

36協定を届出していても時間外労働は月45時間、年間360時間が上限となります(特別条項の場合は月100時間、年間720時間)。

これは、単純に長時間労働が人体に悪影響があるためです。

厚生労働省の脳・心臓疾患の認定基準(平成13年12月12日基発1063号、平成22年5月7日基発0507第3号)でも時間外労働時間の目安と業務と発症との関連性について記載しています。

仕事内容に関わらず、ただ労働時間が長いというだけで長時間労働が原因の病気になるという見解です。

また、うつ病などの精神疾患の発症についても労働時間の長さが認定基準の1つとなっています。

電通事件(平成12年3月24日最高裁判例)

長時間労働に関する裁判の判例です。

長いので概要のみ記載します。

(1) Yに新卒採用され、2年目の若手社員Aがラジオ局ラジオ推進部に配属され勤務していたところ、自宅において自殺した。Aが従事した業務の内容は、主に、関係者との連絡、打合せ等と、企画書や資料等の起案、作成とから成っていたが、所定労働時間内は連絡、打合せ等の業務で占められ、所定労働時間の経過後にしか起案等を開始することができず、そのために長時間にわたる残業を行うことが常況となっていた。

(2) Aの両親であるXは、AがYから長時間労働を強いられたためにうつ病に陥り、その結果自殺に追い込まれたとして、Yに対し、安全配慮義務違反または不法行為による損害賠償を請求した。

(3) 本最高裁判決は使用者が「業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」ことを明らかにした上で、継続的な長時間労働によるうつ病罹患と自殺について、Yに対し民事損害賠償義務を認めたものであり、過重労働による安全配慮義務違反に係るリーディングケースである。

過重労働としてその他考慮されるもの

労働時間以外に過重労働として考慮される事項を見てみましょう。

勤務時間の不規則性

・拘束時間の長い勤務

・休日のない連続勤務

・終業から次の勤務までの休みが短い(勤務間インターバルが短い勤務)

・不規則な勤務、交代制勤務、深夜勤務

事業場外を伴う業務

・出張の多い勤務

・その他事業場外における移動を伴う業務

心理的負荷を伴う業務

身体的負荷を伴う業務

作業環境(長時間労働の付加的評価)

・温度環境

・騒音

となっています。

勤務日数が多い、休養時間が短いなどの場合は過重労働として判断されます。

心理的負荷や身体的負荷などない仕事はあり得ませんので、程度を判断する感じになります。

 

労災事故に限らず、長時間労働は企業にとって多くのリスクがあります。

業務改善やDXなどをうまく取り入れて少しずつでも労働時間を短くする努力をしましょう。

 

2023年10月18日

会社の保険の基本

労働保険と社会保険

会社が絶対加入しなければならない保険があります。

労働保険と社会保険です。

労働保険は労災保険と雇用保険の2種類あります。

労災保険とは、労働者が仕事や通勤が原因のケガや病気となった場合に使える保険です。

仕事や通勤が原因のケガや病気で通院など療養が必要な場合、仕事を休業する場合、障害が残った場合、死亡した場合の家族への補償などがあります。

雇用保険は労働者の生活を安定させる目的の保険で、離職した場合には失業等給付や育児休業を取得した場合には育児休業給付を受けることができます。

社会保険は健康保険と厚生年金保険があります。

健康保険は仕事以外のケガや病気や出産に対して使用できる保険です。

厚生年金保険は高齢になった場合や重い障害や死亡した場合に年金の形で給付があります。

障害や死亡の場合、程度によっては一時金として給付もあります。

労災保険は会社負担、他は会社と労働者の折半での負担となります。

会社を設立した時に必要な手続き

会社を設立した場合に必要な保険の手続きは

・労働保険 保険関係成立届

・労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書

・雇用保険 適用事業所設置届

・社会保険 新規適用届

社会保険の新規適用届は社長や役員のみでも必要です。

他は初めて労働者を雇用したときに必要となってきます。

それぞれ条件が違うので、簡単にまとめると

労災保険・・・初めて労働者を雇用したとき(パートや短時間労働者でも)

雇用保険・・・週20時間以上働く労働者を雇用したとき

社会保険・・・1週間の労働時間がその事業所で同様の種類の業務に従事する他の従業員の4分の3以上の人かつ、1か月の所定労働日数がその事業所で同様の業務に従事する他の従業員の4分の3以上の人

となります。

各保険の加入手続きを怠ると労災事故が起こった時の費用徴収や遡っての加入など多額の費用がかかります。

2023年10月17日

ハラスメントの終結のために!事実認定と再発防止の方法

ヒアリングに基づいて事実認定をします

前回のハラスメント対応のコラムの通りヒアリングをし、集まった調査の結果に基づいて事実認定をします。

ハラスメントの有無や程度に基づいて被害者と加害者、第三者からの証拠を総合的に判断し、実際なにがあったのかを企業で決定するのです。

重要なのはハラスメント行為が就業規則のどの懲戒に抵触する行為であったかを認定し、その懲戒に基づいて対応することです。

つまり、就業規則がない場合や不十分な場合は有効な懲戒処分が取れないというわけです。

法律でも犯罪行為について明記されているから罰則が適用されるのです。

企業内の問題も社内法である就業規則に明記されていないと懲戒は有効とはならないのです。

事実認定に基づいて事後対応します

被害者加害者共にこの事件についてはこれで終わりと納得してもらうまでがハラスメント対応です。

被害者の最終目的を再確認し、事実認定された加害行為の程度との均衡に注意しながら対応しましょう。

ただし、加害者からの謝罪を加害者の納得感のないまま強要した場合は逆効果となり紛争が拡大する恐れがあるので注意が必要です。

また、就業規則の懲戒にある場合でも加害者を追い詰め過ぎないことも大切です。

解雇→退職勧奨とする、懲戒解雇とする場合でも退職金を多少出すなど、企業の譲歩も実務上では必要になってきます。

重大な加害行為であった場合、ハラスメント通報から処分が決定するまでの期間加害者を自宅待機などを命ずる場合があります。

その場合はまだ処分が確定していないため、その期間の給料は全額出す必要があります。

会社命令で自宅に待機しているためです。

社内からハラスメントをなくすためには

ハラスメント通報は数あるハラスメントの中のほんの一部です。

通報されないまま終わるハラスメントは多数に上り、知らず知らずのうちに従業員のモチベーション低下や退職を招いています。

ハラスメントに関する相談があり企業に共通する特徴として上司と部下のコミュニケーションが少ない職場が挙げられます。

日常的なコミュニケーションや定期的な面談を実施し、風通しの良い企業を目指しましょう。

また、仕事内容や職場環境も見直しましょう。

仕事が極端に多くいつも気が休まらない。

職場が汚く安全でない。

これではストレスが蓄積し、職場に不満が溜まりそれがハラスメントにつながってしまいます。

職場の不満を解消し、ハラスメントの起きない企業を作りましょう。

2023年10月16日

ハラスメント発生!?初動とヒアリングのポイント

ハラスメント対策の前提は窓口設置と周知

前回のブログでも書きましたが、事業主の措置の1つにハラスメント対応窓口の設置と周知の義務があります。

企業規模に関わらず、ハラスメント対応窓口の設置をする必要があります。

これは、社内問題を外部に拡散されないために必須です。

社内で問題解決できない(と労働者が判断した)場合には外部拡散され、企業価値の低減につながります。

企業に解決できる窓口があることを従業員に周知することで社内で問題解決できる手段があることを理解してもらうのです。

また、相談ルートを複数用意することも重要です。

電話、メール、FAXなど、相談方法が限定されないような対処も有用です。

また、企業の人数が多い場合は相談窓口の担当者を男性・女性設け、それぞれ個別の電話番号やメールアドレスが用意できれば相談者も活用しやすいでしょう。

ただ、あくまでハラスメント窓口として訓練した人を窓口担当としてください。

とりあえず人事部の従業員でなどと配置するとトラブルを招きかねません。

相談受付時の対応

初動対応は特に大事です。

相談者から不信を買うと相談窓口の機能が果たせません。

通報内容や今後の連絡方法を確認し、なるべく直接面談に持っていくことが基本です。

特に相談者は職場に相談していることを気づかれたくないという思いか強いため連絡可能時間や連絡方法は注意が必要です。

職場の電話にかける場合、名乗る名前も考慮した方がいいでしょう。

また、匿名での通報もありえます。

その場合は内容の具体性を鑑みて対象部署にアンケートという形で調査をするなどをすることも必要です。

ヒアリングの対応

ヒアリングの日時や場所の設定には注意しましょう。

仕事中に職場を抜けてハラスメント窓口対応者と会議室に入室したと他の社員が見ているようでは相談の秘密が守れません。

また、相談はできる限り2人で対応しましょう。

上司の同席も避けましょう。

ふつうは上司に相談するものをハラスメント相談窓口に相談してきたのは上司に相談したくない理由があるからです。

相談時に確認することは以下の通りです。

・相談者と加害者の関係

・被害の事実の確認(いつなにがあったか具体的に)

・メールなどの証拠の有無

・事実を知っている第3者の存在の有無(ヒアリングしてもいいかの確認も)

・通報者の要望(謝罪、配置転換など)

ヒアリングをする対象者には秘密を遵守することを誓約してもらいましょう。

2023年10月13日

ハラスメントと企業の義務

ハラスメントとは

ハラスメントとは、簡単にいうといやがらせです。

さまざまなハラスメントがありますが、企業が対応する義務があるのは

・パワーハラスメント

・セクシャルハラスメント

・妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメント(マタハラ)

の3つとなります。

パワーハラスメントとは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの(労働施策総合推進法第30条の2抜粋)とされています。

しかし、実際には部下から上司へのパワハラも認定されていて、職場内のいやがらせ全般ととらえてもいいでしょう。

セクシャルハラスメントとは職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(男女雇用機会均等法第11条抜粋)とされています。

男性から女性への言動のみならず、女性から男性、同性同士でもセクハラになりえます。

妊娠等に関するハラスメントとは、育児介護休業法第25条、男女雇用機会均等法第11条の2から職場において行われる妊娠出産した労働者や育児休業等を取得した労働者の就業環境が害されることとされています。

育休取得(予定)者に対するいやがらせなどが該当します。

これらのハラスメントは事業主が行わないことは当然、労働者に行わせないようにする必要があります。

ハラスメント防止のために企業が講ずべき措置

ハラスメント防止のために企業が講ずべき措置として定められているものがあります。

・事業主の方針等の明確化および周知、啓発

職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること

行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

・職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応

事実関係を迅速かつ正確に確認すること

速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと

事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと

再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)

・併せて講ずべき措置

相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること

相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

ハラスメント対応をミスすると ...

ハラスメント対応をしない、またはミスするとさまざまなリスクが出てきます。

まず訴訟リスクです。

社内でハラスメント対応できない場合、被害者が加害者を訴訟する可能性があります。

この場合、企業が適切な対応を講じなかったとして訴えられるケースもあります。

他には行政の刑事罰などのリスクです。

厚生労働大臣はこの法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対し報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる(男女雇用機会均等法第29条 / 育児・介護休業法第56条)

勧告を受けた者が従わなかった場合には厚生労働大臣はその旨を公表することができる(男女雇用機会均等法第30条 / 育児・介護休業法第56条2)

報告をせず又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処する(男女雇用機会均等法第33条 / 育児・介護休業法第68条)

とあります。

労働施策総合推進法にも

厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる(第33条)

勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる(第33条2)

厚生労働大臣は、事業主から雇用管理上の措置や、不利益取扱いの禁止等の施行に関して必要な事項について報告を求めることができる(第36条)

規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(第39条)

と社名公表と刑事罰に関する条文があります。

他にはSNSなどに被害者が私的に公表するリスクがあります。

対応に不満を感じ、加害者のことや会社のことを書いてしまうパターンです。

この場合、事態の収集がつかなくなります。

他にも派生して社員のモチベーション低下や新入社員が入ってこなくなるなど多くの問題がでてきます。

従業員同士の些細なもめ事として終わらせてしまうと大きなリスクを抱え込む可能性がでてきます。

 

2023年10月12日

特定求職者雇用開発助成金の概要と注意点

概要

特定求職者雇用開発助成金とは、安定した就職に就きづらい求職者をハローワークや職業紹介事業者の紹介で雇用した会社に支給される助成金です。

対象者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者、60歳以上、母子、父子家庭などです。

現在でしたらウクライナ避難民も該当します。

助成金額は対象者の属性や労働時間などによって総額50万円~240万円が支給されます。

半年に1回、過去6か月間の雇用の状況を審査し支給となります。

助成金の流れ

➀ハローワーク等からの労働者の紹介

②対象者の雇い入れ

↓(6か月経過後)

➂助成金申請

➃助成金の受給

となります。

10月からの変更点

この10月以降の雇用分から有期雇用の場合、「労働契約の更新が自動更新」でない場合は本助成金の対象外と正式に決定しました。

以前は「勤務成績等により更新」となっていた場合でも自動更新であることが証明できれば本助成金の対象となっていました。

来年4月以降の申請分の本助成金の不支給が増加することが見込まれます。

 

2023年10月11日