熱中症に罰則?改正労働安全衛生規則

2025年6月1日に施行された労働安全衛生施行規則で示された熱中症対策をしていない場合は罰則が適用されるようになりました。

 

熱中症についての法律

今回の改正以前から労働安全衛生法には第22条で事業者は高温等の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない(意訳)とされており、その罰則として第109条 に22条に違反した場合は6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する(意訳)とされていました。このたび、労働安全衛生施行規則に具体的に何をしなければならないかが明示されました。

(熱中症を生ずるおそれのある作業)
第六百十二条の二 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならない。
2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその実施に関する手順を周知させなければならない。(全文)

条文だとわかりづらいので会社がしなければならないことをまとめます。

 

会社がしなければならないこと

1.熱中症のおそれがある作業を行う場合に
①熱中症の自覚症状がある作業者
②熱中症のおそれがある作業者を見つけた者

がその旨を報告するための体制整備及びあらかじめ関係者へ周知すること

2熱中症のおそれがある作業を行う場合に
① 作業離脱
② 身体の冷却
③ 必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること
④ 事業場における緊急連絡先や搬送先の確認
など熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や手順をあらかじめ定めて関係作業者に周知すること
とされています。

つまり、

熱中症が起きる前にあらかじめ

・熱中症のおそれがある場合の報告体制の整備
・熱中症への対応フロー

を作成し、周知することが必要だということです。

厚生労働省が例示している熱中症の対応フローを添付いたしますので参考にしてください。

 

出典:厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について

 

熱中症対策を怠った場合は?

熱中症対策を怠った場合は初めに記載した罰則とともに、実際に熱中症により労働者が死亡や重度障害となってしまった場合、安全配慮義務違反などを名目に遺族などから裁判をされることがあります。

細かい判例は省きますが、数百万円から数千万円の莫大な支払いを命じられるケースが多いです。

また、会社の対応がずさんで人命を軽視したような対応をした場合は業務上過失致死などで刑事事件となってしまう可能性もあります。

 

まとめ

昨今の夏は特に暑さが厳しいので、熱中症に対する初期対応について会社で働く人みんなに周知しましょう。

行動フローを作成し、熱中症発生時の病院連絡先などを事前に確認しておきましょう。

熱中症は特に発生時の初期対応の遅れが死亡や重度障害につながっています。

初期対応が迅速にできるように普段から熱中症に関する教育を行いましょう。

 

2025年07月22日